WindSynth覚え書き(半袖

およそ世界で一番技術が十分でなく、演奏の出来が悪いさまを。

ワッシャー

このポストは、歴史的な背景はあまり重要でないと決めつけるところから始めよう。

お手元にEWIがあるかたは本体のキーを見てほしい。手元にない向きは画像を検索してください。あ、おでこの広いひとや髪が緑のひとがでてきても気にしなくていいです。日本におけるウィンドシンセ界隈では大変な功績をお持ちのヒューマンなんですが、いったん忘れましょう。で、左右の人差し指・中指・薬指で抑えるキーに注目されたい。公式にはこれらをノート・キーと呼び、上(左手)から順にK1(ひとつとばして)K3、K4、右手に移ってK7、K8、K9という名前がついている。いま実際に手にしたひとは間違いなくパラララっとなんらかのスケールやフレーズをなぞったはずだ。ピアニストがテーブルについたときに両手を天板にのせてなにやら引き始めるのと同じ、演奏者の習性である。ギタリストやベーシストは電車の手すりを左手でつかんだ時に、ドラマーは箸を持った時に、カホンプレイヤーは椅子に座った時に、バイオリニストは顔と首の間に電話を挟んだ時に、ホルン奏者やオーボエ奏者は禿げた時に、エア演奏するものである。昔からそう決まっている。青島幸男が国会でそう決めたのだ。これでいいのだ。

さてそのノート・キー。真ん中が丸くくぼんでおりましょう。たとえばサキソホンのキーについている蝶貝のごとく、ここに指を置くんですよわかりますね? といわんばかりのデザインであります。そして吸い寄せられるようにそこに指を置いてしまう。実に自然な行動です。美しいと言っても過言ではない。世界とはそういうものです。すべてがこのようになっていることが望ましい。あなたもそう思うでしょう。わかります。

余談になりますが、かのサキソフォンジャイアント、マイケル・ブレッカーは右手を蝶貝に乗せず、指を伸ばしたまま演奏していました。彼がほかのひとに比べて指が長かったとか関節が曲がりにくかったなどという話は聞いたことがありませんので、なにか理由があってそうしていたに違いありません。それについてのわたくしの愚かな考察はまた別の機会に譲るとして。

さて話を戻しましょう、と見せかけてEWIではなくNuRADあるいはNuEVIの話をします。

お手元にNuRADもしくはNuEVIがあるかたは本体のキーを見てほしい。手元にない向きは画像を検索してください。あ、おでこの広いひとや髪が緑のひとがでてきても気にしなくていいです。日本におけるウィンドシンセ界隈では大変な功績をお持ちのヒューマンなんですが、いったん忘れましょう。あとで思い出すのは自由です。フォロワーとなるのも自由です。ただしアンチはよくない。そこにこだわるのはあなたのためにならない。人を見下したり馬鹿にすることは損です。あなたはゴキブリになりたいか。

ええと、それでですね、そこにはEWIにあったような丸くくぼんだキーは存在していません。キーを固定しているねじの頭を含むすべてがフラットになっていて、ほんのわずかに丸い模様のような溝があるだけです。EWIのように丸いくぼみのあるキーを採用してはいません。なぜか。

この世に生きとし生けるものはすべからくなにかに縛られています。大自然に囲まれ人間界とは遠く離れて命を育む生物であってもです。たとえばゴキブリ。やつらは殺虫剤をかけてくれと言わんばかりにわれわれの目の前に現れます。あれはきっと殺虫剤によって寿命を終えたいという本能に刻まれた縛りによる行動なのでしょう。よろしい。ならば戦争だ。

ところがNuRADとNuEVIの設計者であるわれらがヨハン氏は違った。

キー、くぼんでなくてもいいんじゃね?

素晴らしい。摂理に縛られることなくデザインすることで「なんかこの辺に触ってれば狙った音が出るぞ」という驚きと発見をもたらしたのです。われわれは解放されたのですエイメーン、ワッダマター。

するとそこに雷(いかづち)が!

 

「くぼみの神をたたえよ!」

 

その名はローゼットワッシャー。ホームセンターなんかにあるように思います。もちろんAmazonにもあるモノタロウのほうが種類多いかもだけど気のせいかも。サイズもいろいろある。んでそのサイズがなんとも切なくてですね、おそらくNuRADのねじはM3みたいな気がするんですけど気のせいかもしれないですけどM3のワッシャーだと小さい。本当に小さい。指に刺さりそう。なのでわたくしはM4を買ってきました。で、本体のキーをローゼットワッシャーと交換してみました.直でやるのもあれなので、プラのワッシャーも上げ底にいれてあります。人差し指はプラのワッシャーなし、中指はプラのワッシャー1個、薬指にはプラのワッシャー2個。

では見てみましょう。はい、ドン!

 

 

うーん。指への刺さり感はまだありますが、慣れそうな感じ。慣れないかもしれないけど、そん時はそん時で。

実はこれ、例の緑の髪のおかたに「いいだろホレホレ」と見せびらかされたのが悔しくて真似したという経緯でありまして。ふだん工作をやってないとパーツのサイズの見方とか規格とかなにがなんだかわからない異世界に迷い込んだようなものです。苦労したホント。だからどなたか早くセットにして売ってください。わたくしのような犠牲者をひとりでも少なくするために。だれか。はやく。

 

次はピンキーキーのココロだ!