結論的な言い方をすると、自分の好きな音源を使えばいいわけですよ。ソフトでもハードでも。
ひとがなにかをするときには必ず思想信条好き嫌いが影響を与えます。コロッケになにをかけて食べるか、みたいな。だからどんな音源を使うか、どんな音を出すかは十人十色で千差万別。フィルターをCC2で開閉してノコギリ波一発で勝負〜なんてセッティングだとしても、どの音源を使うかで出音は変わってくるのは事実。
そもそもウィンドシンセ用に(それっぽいプリセット音が)作られている音源なんてほとんどない。ソフトウェア音源ではわずかながらあることはあるけど。ハードウェア音源で「ウィンドシンセに最適化!」なんて売り文句で売られているものは残念ながらいまはない。Lyriconや初期のEWIは専用音源とセットというかニコイチで売られていました。TXシリーズは「CC2でも動くよ」というノリで、事実上TX81ZがWX7と抱き合わせ販売でしたね。
強いて言うならRolandのSPV-335がそうなのかもしれないけど、残念ながらウィンドコントローラーではなくピエゾピックアップなどを介してサックスでドライブするというものだったので、ある意味敷居が高かった。バーカースベリーのピックアップをリードにつけるとアルトやソプラノだといかにも吹きにくそうでしょ? かといってネックやマウスピースに穴を開けるのはなかなか勇気がいるし。


で、繰り返しになりますがウィンドシンセ用のハード音源というものは、残炎ながら、ない。
キーボードがついていたりなかったりするシンセを買って、メニュー構造を頭に入れて、小さい画面を見つめながらちまちま設定して自分の好みの音を出すしかない。最近は設定用のアプリがあったりするケースもあるけれど全部じゃない。そういうある種の覚悟(とお金)とともにウィンドシンセがある。だから内蔵音源付きのものがお手軽で売れるんだろうなー。
で、でですよ。
星の数ほど存在する、いま現在お店で売っているハードウェアのシンセで、ウィンドシンセに向いているものってどれなのっていう話になります。
えーと、これまでわたくしはこの話題をなんとなく避けてきました。
なぜか。
何度でも繰り返しますが、どんな音がほしいかはひとによって異なります。
ソフトウェア音源ならば、アナログモデリングみたいな、たとえば「あの名機が復活!」的な既存ハードのシミュレートした音源なら高額といってもたかがしれています。Kontaktとかのリアル系は確かに高い。Kontaktとお目当ての音源を両方買わないといけないのもつらい。
とはいえ、部屋のスペースを圧迫するような巨大でタンスみたいな高額シンセを買うよりはよっぽどコンパクトです。キーボードのあるなしは別として、近所の楽器店で売ってるランクのシンセも10万前後しますよね。もう少し安いかな。
だからある程度用語や操作に習熟して、この記事なんか読まなくてもよくなるまで、自分の好みの音を出す手順がわかるまでは安いソフトウェア音源で勉強すればいいんじゃないかと思うのです。EVI-NERなどのウィンドシンセ向け音源もある。EVI-NERだと15ドル。MacならこれとGarageBandだけで「ウィンドシンセで慣らすことを前提にしたプリセット」が手に入ります。気に入った音が入ってるかどうかは知りませんけど、とりあえずたくさんあるプリセットをポチポチ選んで吹くだけで遊べます
そこに大きな壁が立ち塞がる。
OSのアップデートです。
セキュリティアップデートみたいなものなら大きなトラブルもないかもしれない。でもメジャーバージョンアップになるとうかうかしてられない。それはいま使っているソフトが動かなくなる可能性がある。
これが心配なんです。アップデートしなきゃいいじゃんというひともいますが、コンピュータですからね。外部からアタックを受けて悪用される可能性がある。だからなるべくOSは最新にしておきたい。
でもそうしたらアプリが動かなくなるかもしれない。

じゃあハードウェア音源のほうがいいんじゃないの?
そりゃたしかにそうだ!
例えばあらゆるジャンルのプレイヤーにファンの多いRolandのS-1だと、2024年11月現在、2万円台後半かな。これにTRSのMIDIケーブル変換と出力用にステレオミニプラグとかヘッドフォン。それからkirinoさんやさわでぃさんの解説記事やBANANAsuさんの解説動画を参考にしながらS-1で設定&音作りをして……ってなると、途中で飽きちゃうひとが出てくる。それはそれで仕方ない。目的と手段。そういうもんです。
S-1じゃ納得いかなくてほかの音源に手を出す。OK。大人だから自分の経済状態に合わせてなんでも買えばよろしかろ。で、沼にはまっていく。
で、これこそがこの話題をなんとなく避けてきた理由です。
「ウィンドシンセって格好いいし楽しそう!」という潜在的ライトユーザーにはとって、ハードシンセは試行錯誤&暗中模索するのにお金と時間がかかりすぎる。
目的は演奏であって音作りはそのための手段でしかないのに、音源の設定で時間が溶けちゃう! 途中でくじけてほしくないんですよ。
プロないしプロ志向のみなさんは仕事なんだからいいんです(ほんとはよくないのかもしれないけど)。
でもライトユーザーで「外部音源が気になるなー」ってひとには苦しんでほしくない。
キーボードプレイヤーに比べて、ウィンドシンセで鳴らすために気にしなければいけないパラメーターは少ないです。でも、ハードルは高い。必要なパラメーターとそうじゃないパラメーターの区別がつかない!
んで結局フィルターをブレスで開閉してノコギリ波一発って世界になっていく。
やっぱこれだよ、とかいいながら……。